夏の会·あの雲を忘れない:女優って…
NHKで放送された『女優たちの終わらない夏、終われない夏』。
広島の原爆投下後の被爆者(少年少女)の最期の声を中心に、戦争で亡くなった方々の最期の声を集めて、女優さんが代読する会『夏の雲は忘れない』に関する番組。
渡辺美佐子さん、岩本多代(ますよ)さん、山口果林さん等、舞台や映画で活躍する大女優さん達がセルフプロデュース&セルフマネージメントする女優集団『夏の会』。
平均年齢80歳超えの大女優さん達、移動も各駅停車を乗り継いだり、特急や新幹線も普通車だったり…その切符さえ、全て本人達が手配するっていうんだから、大したおばあちゃま集団です。
その移動だけでも楽しそう。
出来上がった台本を各地の関係者に発送するのも、本人たち。
『台本送る時、この説明書も一緒に入れるのよ?』
『あらいやだ、先に言ってよ!もう(幾つか)封をしちゃったわよ!また開け直さなきゃ!』
等々、楽しそう笑
キャッキャしながら舞台を準備する姿、少女達の部活の延長みたいな感じで、とても可愛らしい♡
元々は、劇団:地人会のバックアップのあった会だったようですが、地人会が2007年に解散した時、女優さん達だけで立ち上げ直した『夏の会』。
それには、渡辺美佐子さんの並々ならぬ思いがあったようですね…
広島への原爆投下によって、初恋の人を失った渡辺さん。
その方の最期を知ったのは、お年を召してからとの事。
それ以来、広島に降り立つと、彼の名前が刻まれた慰霊碑に毎年花を手向ける渡辺さん。
後ろ盾もない、本当に有志の集まるサークルのような始まり…ただ、そこは大女優集団。
集まって来たのは、例えば大河ドラマ等の音楽を担当するような、力ある裏方さん達。
そんな裏方さん達にも支えられて続いてきた舞台『夏の雲は忘れない』も、女優さん達の高齢化で、今年の夏が最後の上演だったそうです。
その最後の公演ツアーで、初恋の人の妹と娘、孫娘の3人に会えた渡辺さん。
この最後のツアーでは、初恋の人の写真も舞台に映し出されることに。
それも最後の最後、女優さん達が背景の写真の子供たちを見つめながら暗転になる時に、下段の右側に映し出されて…
渡辺さんも、初恋の人の妹さん家族も、その写真をどんな気持ちで見ていたんでしょうね…
確かに聞いているのも辛いような内容で、番組でほんのちょっとかじっただけで涙が止まらなくなるような内容だけど…それでも…1度だけでいいから、観に行けば良かった…
月並みだけど、戦争なんてしてはいけないって思うのと同時に、自分達の全身全霊を込めて、亡くなった子供たちの言葉を本人に代わって伝えるという事に集中する女優さん達の、いわゆる『女優魂』を見せつけられたような、そんな番組でした。
女優って…凄いですね…